スコットランドは気象条件が厳しい
ツーリングでは天気が重要ですよね。
晴れた日のツーリングは最高!
もうツーリングとは「天気を楽しむこと」なのではないかと思うほどです。
でも英国は天気が悪い国というイメージがありますからいろいろ心配です。
雨が頻繁に降るらしい
ご存知の通り、英国は雨が頻繁に降ります。
特にスコットランドは、さらに降るらしく、英国人の間でも「スコットランドに行く」と言ったら「傘持った?」というのが決まり文句らしいです(ホントかな?)。
そんなツーリングの醍醐味を味わえなさそうな地域でツーリングなんかしても楽しいのかなぁというのが、私が行く前の印象でした。
まあ間違いなく雨との闘いになるでしょう。
Weather Sparkという世界の気象情報のサイトによると、例えばスコットランド西岸の中心地Fort Williamの降水確率は年間を通じて40%~60%、対して東京は10%~50%と季節による降水確率の変化が大きいので、確かに「いつも降る」ということなのでしょう。
ちなみに6-7月は、Fort Williamも東京も40%後半となっているので、同じぐらいの頻度で降るということでしょう。
ただ、その時期の降雨量は、月間でFort Williamが80mm~95mmに対して、東京は135mm~150mmといった記録になっていて、東京は降る時はだーっと降る最近の傾向が表れています。
降られる確率は東京の6月水準で高いが、降る量は東京の6割程度ということなんですね。
それでもスコットランドの5月前後は、降水確率・降雨量とも年間では少ない時期なので、気温との兼ね合いを考えると6-7月はあながち「外れ」のシーズンでもないようです。
スコットランドは寒いらしい
また、気温も気になるところで、かなり冷涼な地域ですから、ライディングウェアなどの衣服の選択においてもチェックしておく必要があるでしょう。
私が今回訪問する6月において、英国南部のイングランドは温暖になっていると思いますので、問題は北部のスコットランド。
どんなものかGoogleで調べるとこんな感じ。
| 地点 | 気温 | 5月 | 6月 | 7月 |
| エジンバラ | 最高 | 14 | 17 | 19 |
| 最低 | 6 | 9 | 11 | |
| インヴァネス | 最高 | 15 | 17 | 19 |
| 最低 | 6 | 9 | 11 | |
| フォートウィリアム | 最高 | 14 | 16 | 17 |
| 最低 | 7 | 10 | 12 | |
| ポートリー | 最高 | 15 | 16 | 18 |
| 最低 | 7 | 9 | 11 | |
| アラプール | 最高 | 15 | 17 | 19 |
| 最低 | 6 | 9 | 11 | |
| サーソー | 最高 | 12 | 14 | 16 |
| 最低 | 6 | 8 | 10 | |
| ロンドン(参考) | 最高 | 19 | 22 | 24 |
| 最低 | 10 | 13 | 15 |
ちなみに各地の位置関係はこんな感じ

日較差は不明なので、前後1ヶ月の平均最高気温・最低気温を参考に、最高20℃、最低5℃を想定しておいたほうが良さそうです。
これは東京の気温でいうと2月~4月に該当するようです。
| 地点 | 気温 | 2月 | 3月 | 4月 |
| 東京 | 最高 | 10 | 14 | 18 |
| 最低 | 5 | 9 | 14 |
ということは、まだまだ充分に寒い時期ですよね。冬装備確実だわ。
スコットランドは風が強いらしい
そして風。
ライディング経験値の低い私にとって風は怖い!
日本でも軽量な250ccに乗っていたので、高速道路とか大きな橋の上で風に吹かれるのが恐怖です。
スコットランドツーリングについて、ネットで得られる数少ない日本語での情報として観たYouTubeの動画でも、風がすごいらしく、ツーリング熟練者にとっても厳しいレベルのようです。
<参考動画:橋を渡るところから始まります>
Weather Sparkによると、スコットランド西岸各地の平均風速はこんな感じでした。
| 風速(m/s) | 6月 | 7月 |
| フォートウィリアム | 4.5 | 4.4 |
| ポートリー | 5.3 | 5.3 |
| アラプール | 5.1 | 4.9 |
| 東京 | 3.3 | 3.2 |
東京よりも2m/sほど、比率にして6割ほど高く、やや内側に入ったフォートウィリアムでも1m/s高いです。
しかも、これはあくまでも「平均」なので、強風には注意したほうがよいということになります。
天気情報サービス
Weather Sparkで過去の傾向はわかりました。
では実際に現地でリアルタイムの天気予報を得るサービスは何が良いのでしょう?
ロンドン在住の友人に聞くと、BBC、MET Officeといった名前があがったので使ってみます。
BBC Weather(日本からはWebのみ)
MET Office(Webとアプリ)
Androidアプリ
iPhoneアプリ
そして風については北海道ツーリングでも使ったWindy
BBCは、日本で言うところのNHKみたいなもんですから、まあ信頼が置けそうなイメージです。しかしアプリ版は日本からは使えないようなので、Web版をスマホのブラウザにブックマークして使うことにします。
MET Officeはあまり知らない名称でしたが、gov.ukになっているところを見ると英国の公共機関なのでしょう。
Windyは風の状態と予測が非常にわかりやすいグラフィックスで表示されるので、使っています。
実際の天気と天気情報サービス
土砂降りに三度遭遇
私の行った6月~7月の時期は、基本的に大西洋から多数の雨雲が散弾銃のように吹き付けられるといった傾向でした。
確かに、ほぼ毎日降ったのではないかと思います。
日中に移動するときは、MET Officeの雨雲レーダーを見ながら、なるべく降られないコースを辿りますが、それでも被弾してしまうことが多々ありました。
それと、月間降水量で騙されたのですが、一時的に降る雨の強さは東京のゲリラ豪雨かそれ以上の時もありました。
防水だったはずのライディングブーツでさえ、15分間の集中豪雨により、浸水したほどです。
集中豪雨が降ったのは3回。
1回めは6/11、イングランドでドーバー海峡に向かうタイミング。雨雲レーダーで豪雨エリアに入らないように調整したので、直接は降られず、降った直後の道路を走りました。それでも急斜面では水の流れがあったりと滑るのではないかとヒヤヒヤする場面もありました。
2回めは6/14、エディンバラでバイクを借りて出発しようとしたとき、雲行きが怪しくなってエディンバラのスーパーに逃げ込み、なんとか直撃は免れました。
<Windyの画面>

一旦雨が弱まって移動を開始しましたが、エディンバラの街はあちこちプチ冠水してましたね。
そして、この後もずっと降り続いたので、結局この日は雨ツーになってしまい、防水ライディングブーツが初めて浸水してショックでした。スマホも浸水してOFFになるわで宿にたどり着くのが大変でした。
3回めは6/15、グレンコーを抜けてフォートウィリアムに入る直前、強烈な15分間の集中豪雨。前回のスマホ浸水で懲りていたので、スマホはタンクバッグに収納したのですが、宿が住宅街の中の複雑な路地の中、しかも斜面を登る方向。雨水が川になって道路の上から流れてくる中を、少し進んでは停まって場所を確認しながらです。結構急斜面なので安全に停まれる場所も限られるため、かなりの緊張が走ります。結局近隣住民に宿の場所を聞いてたどり着けましたが、またしても防水ライディングブーツは浸水です。
<MET Officeの画面>

どこかで雨宿りできればよかったのでしょうけど、知らない土地なのと、あと少しで辿りつけると思うと無理して続行してしまいました。今にして思えば、ガソリンスタンドに逃げ込んで、併設のコンビニで適当に何かを物色して買うなどしていればよかったです。
MET Officeアプリが優秀
現地で最も活躍したのはMET Officeアプリでした。
特に雨雲レーダーが見やすいので重宝しましたね。
過去6時間(5分刻み)の実績、目先5時間(15分刻み)の予測と、5日分(1時間刻み)の予測が出るので、目先の行動と、明日以降の行動を決めるのに役立ちます。
一日の間の天候の変化が激しいので、BBCのサイトで見られる、日や時間ごとのお天気アイコンはあまり意味がなくて、降水確率は参考程度、それよりも実際の雨雲がリアルタイムにどう自分に向かってくるかが重要でした。
私はそれほど多く走らない質ですが、1日の移動距離も200kmぐらいあると、コース取りによってはうまく雨雲を避けることができたりします。
それはさながらシューティングゲームのようで、敵の攻撃の弾(雨雲)が散弾銃のようにやってくるので、うまくかいくぐるわけです。それでも詰んでしまって被弾することもありました。
最初の頃は、使い慣れていることもあってWindyの雨雲レーダーもよく見ましたが、Windyは無料だと目先1時間分の予測しか表示されないので、現在の状態と今後の方向性の把握ぐらいにしか使えません。
BBCは雨雲の表示が見えづらいので、リアルタイム情報としては使いませんでしたが、今後数日の天候の傾向を把握する程度には使っていました。
強風がやばかった
事前に風が強いことを知っていましたが、やはり風が強かったです。
風の状態はWindyでモニターし、かなり正確な予報を得て、的確な対応ができたのではないかと思っています。
特にスカイ島近辺ではずっと10m/s級の風が続いていて、残念ながらスカイ島へ渡るのを諦めました。
もう少しライディングの経験値があれば行けたかもしれませんが、自分のスキルレベルで、比較的軽量(200kg)なバイクとフル積載した状態では危険と判断しました。
また、最後エディンバラに帰って来る日の午後も、最大15m/s級の強風となり、本来はM道路を走り、エディンバラの湾を大橋でショートカットする予定でしたが、そもそも高速走行自体が危険な状態だったので、下道で湾をず~~~っと大回りしました。
風でここまで予定を狂わされたのは初めてでした。
まとめ
- 海外の気象情報の、事前調査にはWeather Sparkが優秀
- 6-7月のスコットランドは、6月の東京と同程度の降水確率。月間降水量は東京の6割程度だが、時間格差が大きいので強い土砂降りもある
- 土砂降りが来た時の対応を事前に考えておくこと
- 風も強く、ルート変更を余儀なくされることもある
- 英国のリアルタイム気象情報(雨雲レーダー)はMET Officeが優秀
- 風についてはWindyが見やすい
ツーリングでは天候が重要なので、雨の多い英国でもうまくやりすごせると良いですね。
